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月別アーカイブ: 2025年9月

モンド設計のよもやま話~第16回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

~やりがい~

1|この仕事の役割——“調和を設計する”

建築設計は、安全・快適・美しさ・事業性・環境の多目的最適化。
一本の線で、人の体験街の未来、そして運用の持続性までを編み上げる仕事です。


2|“いま”求められている主要ニーズ 📈

①ライフサイクル最適化

  • 初期コストだけでなくLCC(維持更新費)、運用CO₂+エンボディド炭素を意思決定に組み込む。

  • BCP/レジリエンス(停電・水害・熱波)をシナリオで検証

②利用者体験と包摂

  • ユニバーサルデザイン、サイン・動線・音環境、ウェルビーイング

  • 使い手の行動データを反映した実測ベースの設計

③協働と施工性

  • 早期に構造・設備・施工を統合設計。DfMA/プレファブで工期短縮×品質安定

④データ一貫性と説明責任

  • BIM/IFCで属性を標準化、干渉検出・数量・シミュ根拠を可視化

  • 合意形成の記録(BCF/議事)を台帳化

⑤既存ストック活用

  • 点群×BIMで改修・コンバージョンを前提にした設計力。

⑥法適合と社会要請

  • 構造安全、避難・換気、景観、環境認証への整合

  • 調達・契約・知財のガバナンス

⑦デジタル/AIの実務活用

  • 面積検討・法チェック・案比較の補助としてAIを活用(最終判断は人)。


3|この仕事の“やりがい” 🌟

  • 線が街になる感動:図面とモデルが人の記憶に残る風景へ。

  • 制約を解に変える快感:法規・コスト・環境・美の同時最適を導く思考勝負。

  • 長期で効く手応え:運用データに自分の設計意図が数値で返ってくる

  • 合意をデザインする充実:多様な利害を一つの空間に編集していくプロセス。

  • 学びが尽きない:構造・設備・材料から都市・行動科学まで横断で成長できる。


4|やりがい×ニーズが交差するミニ事例(概念例)💬

  • 学校改修:点群→BIMで干渉ゼロ化、断熱と採光を最適化し快適性と省エネを両立

  • 病院動線:スタッフの歩行データを分析、Wayfindingを再設計して業務効率と安全性を改善。

  • 集合住宅:パッシブ外皮&可動日射で空調負荷を削減、居住者満足度も向上。


5|“今すぐ使える”実務ミニ戦略 🧰

  1. ブリーフの骨格:目的・KPI(快適/環境/コスト/工期)・優先度をA3一枚で合意。

  2. 三点提示:毎回、コスト解/環境解/デザイン解の3案で意思決定を加速。

  3. BIM責任範囲表:LOD・属性・原点・命名規則を最初に固定。

  4. 合意の可視化:BCFで指摘→期限・責任を紐づけ、RFI発生前に潰す

  5. 原寸&VR検証:要の箇所は1:1モックまたはVRで使い勝手を前倒し確認。

  6. レジリエンス簡易シナリオ:停電・断水・熱波の48h運用計画を図に。

  7. DfMAチェック:現場加工→モジュール化できる部位を毎回抽出。


6|成果が見えるKPI(目安)📊

  • 手戻り率(再設計時間/総設計時間)

  • 干渉検出の前倒し率(基本→実施の移行前に解決できた割合)

  • RFI件数/週回答リードタイム

  • コスト偏差(概算→契約の乖離%)

  • エネルギーKPI(BEI・一次エネ/㎡・日射取得率 等)

  • エンボディド炭素(kg-CO₂e/㎡)と削減率

  • 施工性KPI(プレファブ率・現場工期短縮%)

  • 合意形成速度(主要承認までのサイクル数)

  • 利用者満足(POE/アンケート・不具合是正率)

重要なのは他社比較より“自チームの基準線”を上げ続けること。測る→整える→再設計のPDCAが王道です。


7|チームのウェルビーイング 👥💚

  • ピーク平準化:中間レビューを**週次固定(短時間・高頻度)**にして徹夜を防ぐ。

  • ナレッジの標準化:ディテール・コスト・環境のベストプラクティス集を継続更新。

  • 自動化の徹底:集計・図番・チェックをスクリプト化、創造に時間を回す


8|キャリアと横断スキル 🎓

設計者 → プロジェクトアーキBIM/データマネサステナ顧問 → PM/都市戦略。
横断スキル:ファシリテーション、合意形成、IFC/BCF、DfMA、環境評価、契約・知財、プレゼン。


9|これからの潮流 🚀

  1. 脱炭素の定量設計(運用×エンボディドの統合KPI)。

  2. 既存の再生(リノベ/コンバージョン)が新築と並ぶ主戦場に。

  3. デジタルツインで運用データを設計にリターン。

  4. AIコパイロットで検討の“幅”を拡張(判断は人)。

  5. オープンスタンダード(IFC/IDS/BCF)でモデル=契約情報へ。


まとめ ✨

建築設計のニーズは、ライフサイクル最適・包摂的体験・協働と施工性・データ一貫性・既存再生
やりがいは、線が街になり複合制約を解に変え長期で価値を残すことにあります。

今日の一本の線が、明日の都市を変えます。**“調和を設計する”**という誇りを胸に、次のプロジェクトへ。🏙️

詳しくはこちら!

 

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モンド設計のよもやま話~第15回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

~変遷~

1|ドラフターと模型が主役——職能の基礎が形づくられた時代(〜1990年代)

  • 設計技術:トレーシングペーパーとドラフター青焼きで図面複写。スタディは手描き・紙模型

  • コミュニケーション:対面と電話・ファックス、紙提出が前提。

  • プロマネ:設計と工事が直列、図面=契約図の完成度で勝負。

  • 価値観:造形・空間体験・ディテールの職能的深みが評価軸。


2|2D-CADの普及——生産性と標準化の時代(1990〜2000年代前半)

  • 設計技術:AutoCAD等の2D-CADが標準に、プロッタで大量出力。

  • ワークフロー:レイヤ・ブロックの図面標準、チェックリスト型の品質管理。

  • プロマネ:VE(価値工学)やコストプランニングが体系化、工程は設計→積算→施工の直列が基本。

  • 課題:設計・施工・設備の**三者間の“食い違い”**が後工程で噴出。


3|BIMの台頭——三次元で作り、干渉を前倒しで消す(2000年代後半〜2010年代前半)

  • 設計技術:Revit/ArchiCAD等のBIMが普及、干渉検出と**数量拾い(5D)**が可能に。

  • 協調:構造・設備とモデル連携、施工段階での**4D(工程)**連動が拡大。

  • 評価軸:CASBEE・LEED等の環境性能評価の導入、日射・照度・エネルギーのシミュレーションが一般化。

  • 成果:手戻り削減、コスト可視化、説明責任の強化


4|計算設計とファブの接続——“つくり方”まで設計する(2010年代)

  • 技術:Grasshopper/Dynamo等でのパラメトリック設計最適化/形態探索

  • 製作:CNC・3Dプリント・DfMA(製造と組立のための設計)、プレファブ/モジュールの活用。

  • プロマネ:IPD(統合プロジェクト)、CM/PMが一般化し合意形成の前倒し

  • 社会要請ユニバーサルデザイン、地域防災、リノベ・コンバージョン(用途転用)の拡大。


5|DX・サステナブル・レジリエンス——都市と運用を“設計範囲”に取り込む(2020年代〜)

  • 現況取得レーザースキャン/点群・ドローンで既存建物をデジタル化、BIMと統合

  • 運用接続デジタルツインで運用データ(温湿度・人流・設備)を設計にリターン

  • 脱炭素運用時CO₂+エンボディド炭素(材料・施工)の両方を設計KPIに。木質(CLT)・高性能外皮が拡大。

  • リスク:感染症・災害・BCP、換気・避難・冗長化をシミュレーションで検証。

  • AI:コンセプト生成・面積計画・法適合の自動チェック支援が登場(最終判断は人)。

  • 法規・調達性能規定化の流れ、データ納品(IFC等)、発注者のアセット視点が強化。


6|タイムラインで一気に把握 ⏱️

  • 〜1990s:手描き・紙模型/直列プロセス

  • 2000s:2D-CAD・図面標準/VE・生産性

  • 2010s:BIM・環境シミュ/干渉前倒し

  • 2010s後半:計算設計・DfMA/モジュール

  • 2020s–:点群×BIM・デジタルツイン/脱炭素・レジリエンス・AI


7|“いま”の主要ニーズ(発注者×設計者×施工者の共通言語)📈

  1. ライフサイクル視点:初期コストだけでなくLCC・運用CO₂・更新計画で意思決定。

  2. データ互換性IFC・BIM360等で一貫管理、属性の入力ルールを明文化。

  3. 設計の説明責任シミュレーション根拠、材料環境データ、避難・換気・耐震の可視化

  4. 協働の設計:**早期統合(構造/設備/施工/維持管理)**で手戻りゼロへ。

  5. レジリエンス:停電・断水・熱波・豪雨のシナリオ設計

  6. インクルーシブアクセシビリティ・ジェンダー配慮・多様な働き方を空間要件に反映。


8|この仕事の“やりがい” 🌟

  • 線が街になる:図面・モデルが風景と生活に変わる長期的な手応え。

  • 制約の中で最適解を導く:法規・コスト・環境・美しさの多目的最適化

  • 学びが尽きない:構造・設備・材料・デジタル・社会学まで横断で成長できる。

  • 合意形成のデザイン:多様な利害を一つの空間に編み上げる編集力


9|やりがい×変遷が交差するミニ事例 💬

  • 点群→BIMで古建築を再生:現況誤差を吸収し、適合改修と省エネを両立。

  • パラメトリック外皮:日射・眺望・コストを同時最適→空調負荷▲15%(概念例)。

  • DfMA×モジュール:現場工期短縮・騒音粉じん低減→近隣合意がスムーズ

  • デジタルツイン:運用データで熱不均衡を是正、快適性と省エネを両立。


10|“今すぐ現場で効く”実務メモ 🧰

  1. モデルの“責任範囲表”:意匠/構造/設備のLOD・属性責任をA3一枚で合意。

  2. IFCエクスポートの前検査:命名規則・階層・原点・単位を週次で自動チェック

  3. 設計KPIの“見える化”:一次エネ、日照時間、可視化率、エンボディド炭素を案ごとに比較

  4. 早期統合ワークショップ:基本計画のうちに構造/設備/施工/FMを同席させる。

  5. ユーザー行動のトレース動線・視線・音環境を簡易シミュで説明。

  6. 代替案は“3解”:コスト解/環境解/デザイン解の三点提示で意思決定を早める。


11|成果が見えるKPI(目安)📊

  • 手戻り率(再設計時間/総設計時間)

  • 干渉検出件数の前倒し比率(基本→実施)

  • エネルギー指標(一次エネ/㎡、UA値、BEI等)

  • エンボディド炭素(kg-CO₂e/㎡)と削減率

  • IFC/属性の整合率(自動チェック合格率)

  • 合意形成速度(主要承認までのサイクル数)

  • 施工段階の設計照会(RFI)件数/週(少ないほど良)

重要なのは他社比較より自チームの基準線を上げ続けること。測る→整える→再設計のPDCAが王道です。


12|これからの建築設計:5つの潮流 🚀

  1. 脱炭素の定量設計:運用×エンボディドの統合KPIで意思決定。

  2. 適応と再生リノベ・コンバージョンが新築と並ぶ主戦場に。

  3. AIアシスト:法規チェック・面積計画・画像生成は補助、最終判断は

  4. データ連携の標準化IFC/BCF/IDSで“モデルが契約の一部”へ。

  5. レジリエンス×包摂:災害・気候・感染症・多様性に強い空間が価値のコア。


まとめ ✨

建築設計は、
手描きの時代 → 2D-CADでの標準化 → BIMでの統合 → 計算設計・DfMA → DXと脱炭素・運用接続
へと進化してきました。

これから選ばれるのは、データで語れる設計合意をデザインする力。そして、街の未来に責任を持つ視点です。
一本の線が、都市と生活を変えます。今日のモデルから、その未来を描きましょう。🏙️

詳しくはこちら!

 

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