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月別アーカイブ: 2025年6月

モンド設計のよもやま話~第10回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

建築設計の世界では、「一人前」と言われるまでに多くの知識と経験、そして信頼関係の構築が求められます。設計は単なる図面を描く作業ではなく、法律、構造、施工、予算、さらには人間関係にまで深く関わる、総合的な職能です。

ここでは、新人から「一人前の建築設計士」として独り立ちするまでの道のりを、段階ごとに深く掘り下げていきます。


1. 学びの基礎:設計職への入口

建築学科や専門学校などで、設計理論・構造力学・法規・製図・建築史などの基礎知識を学びます。特に構造と法規は、実務に入ってからの理解の土台となるため、最も重要視されます。

新卒入社直後の姿勢

  • 「知識を覚える」こと以上に「なぜそう設計するのか」を考える力が求められる

  • メモを取り、毎回の指導を“自分の言葉”に変える意識が成長の鍵


2. 実務経験の積み重ね(アシスタント期)

先輩設計士の指導のもと、CAD図面作成・確認申請書類の準備・施主との打ち合わせ同席など、実務を支える役割を担います。

この期間の主な課題:

  • 現場で起きる“想定外”にどう対応するかを学ぶ

  • 納まりや構造に関する「実物の感覚」を身に着ける

  • 発注者・行政・施工業者など多方面とのやり取りで“設計士の現場力”を体感する


3. 初めての“自分の設計案件”|試される信頼と責任

数年の実務経験を経て、小規模案件を一通り任されるようになります。ここで初めて、設計の全工程(企画→基本設計→実施設計→監理)を通して責任を持つことになります。

よくある悩みと学び:

  • 「施主の要望に応えながら、設計としての筋を通す」難しさ

  • 設計ミスによる工期遅延やコスト超過など、ミスの重みを知る

  • 現場監理の重要性を実感し、“図面と実物”のギャップを埋める力が鍛えられる


4. 資格取得:一級建築士・二級建築士の取得

設計者としての信用と独立性を高めるために、建築士資格の取得は不可欠です。

一級建築士取得のメリット:

  • 大規模建築(商業施設・マンション・公共建築)の設計が可能

  • 設計事務所を開設できる

  • 社内でも“責任者”としての立場が明確になる

資格はあくまで通過点。「信頼される設計士」になるためのステップのひとつです。


5. “一人前”の定義とは?

一人前とは、単に図面が描ける人ではありません。

本当の“一人前”の条件:

  • クライアントの要望を正しく汲み取り、適切な解決策を提案できる

  • 構造・法規・デザイン・コストのバランスを統合的に考えられる

  • トラブルに責任を持ち、自らの判断で前に進められる

  • 周囲の信頼を得て、案件を円滑に進められる

これらが揃ってはじめて、「任せられる設計士」として信頼される存在になれるのです。


6. 継続する成長:一人前のその先へ

設計業に終わりはありません。新しい技術(BIMやAI)、法改正、社会ニーズの変化などに常にアンテナを張ることが大切です。

  • セミナーや講習会での学び直し

  • 若手育成を通じた自己成長

  • 建築の本質に立ち返り、「人の暮らしに何を届けたいか」を問い続ける姿勢


建築設計の“道のり”は、信頼を積み上げる旅

建築設計において一人前になるということは、図面や空間を作る技術以上に、「人に信頼される力」を持つということです。技術・経験・対話・失敗…それらを積み重ねて、自信と誇りを持てる“建築家”へと成長していくのです。

建築という長い道のりの先に、自分自身の作品と社会貢献がある。それを信じて、一歩ずつ、誠実に歩んでいきましょう。

詳しくはこちら!

 

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モンド設計のよもやま話~第9回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

建築設計の世界は今、大きな転換期を迎えています。その象徴ともいえるのが**3D図面(立体図面)**の急速な普及。従来の2D(平面図・立面図・断面図)では伝えきれなかった情報を、視覚的に「わかりやすく」「正確に」「迅速に」伝える3D設計が、今や業界標準となりつつあります。

この記事では、なぜ3D図面が今注目されているのか、その魅力と今後の展望について建築設計業の立場から深掘りして解説します。


1. 3D図面とは何か?|建築の「見える化」

3D図面とは、建物の形状や空間構成、構造などを立体的に可視化した設計情報です。CADソフト(Revit、Archicad、SketchUpなど)を使い、実際の空間に近いかたちでデザインを構築します。


2. なぜ3D図面が注目されるのか?

◉ 見る人すべてに“伝わる”図面

クライアント(施主)にとって、2D図面は専門知識がなければ理解しにくいもの。3Dで表現された図面は「誰が見てもわかる」、イメージの共有がスムーズになります。

◉ 設計ミスの事前発見

立体で設計・確認することで、干渉・納まり・高さの不整合など、施工前に潜在的なミスを発見しやすくなります。

◉ スピードと精度の向上

変更箇所を3D上で即時反映でき、図面修正や積算も連動させやすい。これにより設計期間の短縮と精度の向上が実現します。


3. 実際の活用例|設計から施工までの3D連携

◎ クライアントプレゼン

  • 仮想モデルで建物内を歩くような提案が可能

  • マテリアルや照明効果を可視化して、完成イメージを伝える

◎ BIM(Building Information Modeling)

  • 3Dモデルに構造・設備・材料・工程などの情報を一元管理

  • 設計・施工・維持管理までトータルに連携できる業界基盤

◎ VR(バーチャルリアリティ)連携

  • クライアントが「中に入って体験する」建築プレゼンが可能

  • 設計者と非専門家の“認識のズレ”を事前に解消


4. 導入のメリットと課題

【メリット】

  • 情報共有のスピードアップ

  • 発注者・施工者・設計者の三者連携が円滑

  • コスト予測や資材管理の精度向上

  • 若手設計者への教育効果が高い

【課題】

  • 導入コスト(ソフト・人材教育)

  • 業務フローの再構築

  • ソフト間の互換性やデータ管理の問題


5. 今後の展望|3D図面が建築業を変える

  • 建築設計だけでなく、都市計画・リノベーション・インテリアまで3D化が進展

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の柱として、3D/BIMが業界標準に

  • AIやIoTと連動し、「設計→施工→運用」の一体化へ

3D図面は単なる設計手段を超えて、建築の意思決定そのものを効率化・高度化するツールとして進化し続けています。


3D図面は“建築の未来”をデザインする武器

建築の複雑性が増す現代において、「正確に伝える」「早く気づく」「共有する」という3つの能力を持つ3D図面は、設計者・施主・施工者すべてのパートナーになります。

これからの建築設計には、立体的な発想とテクノロジーとの融合が欠かせません。あなたの設計力を次のステージへ引き上げる一歩として、3D図面の活用を真剣に考えてみませんか?

詳しくはこちら!

 

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