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カテゴリー別アーカイブ: 日記

モンド設計のよもやま話~第12回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

~社会的役割~

私たちが暮らす家、通う学校、働くオフィス、集まる公園――。
それらすべての空間は、「建築設計」によって生み出されています。

けれどその存在は、意識されることが少ないかもしれません。
建築設計は、社会の基盤をつくり、人の営みを支え、文化と価値観を可視化するという、極めて公共性の高い行為です。
単に“建物を建てる”のではなく、その空間に関わる人々の「暮らし・働き・学び・集う」を形づくる設計行為そのものが、社会を支える役割を担っているのです。


1. 「居場所」をつくるという責任

人間にとって、空間は単なる器ではありません。
そこにいることで安心し、居心地を感じ、意味づけをし、生き方を支える「居場所」になります。

建築設計とは、人に“居場所”を与える行為です。

  • 家:自分に還る安心の空間

  • 学校:子どもが育ち、つながり、社会性を培う場

  • 職場:働く人が快適に、生産的に活動する舞台

  • 公共空間:多様な人が共に過ごす包容力のある場

つまり設計は、**「人と社会をつなげる場所を創造する仕事」**であり、それによって人間関係やコミュニティの質すら左右されるのです。


2. 安全性・快適性の担保:都市と人命を守る使命

耐震設計、防火区画、避難動線、採光・通風計画――。
建築設計には、災害時に命を守る仕組みづくりや、日常的な安全性を担保する責任があります。

特に日本は地震・台風・豪雨など自然災害が多く、建築に求められる防災性能は世界でも極めて高い水準です。

設計者が的確に性能を盛り込まなければ、

  • 倒壊・火災・避難困難などによる人命リスク

  • 高齢者・子ども・障害者にとって危険な空間設計

  • 感染症や熱中症のリスクが高まる環境構造

が発生する可能性があります。

つまり、**建築設計とは命と暮らしを守る“社会インフラの一部”**でもあるのです。


3. 多様な価値観と共存できる空間づくり

現代社会は、年齢・性別・国籍・身体的特性・文化背景などがますます多様化しています。
建築設計は、そうした多様な人々が**“共に在ることのできる場”をかたちにすること**が求められています。

具体的な対応例:

  • バリアフリー設計(高齢者・障害者のアクセス保障)

  • ジェンダーレストイレ・授乳室など、性とケアへの配慮

  • 宗教的配慮(礼拝スペース、靴を脱ぐ文化への対応)

  • 防犯・孤立防止設計(視認性、セキュリティ、共用部の配置)

こうした空間設計は、社会的少数派や声の小さな存在を“包摂”する公共的営みであり、設計者には“社会正義”や“倫理”が問われているとも言えるのです。


4. 地域文化の継承とアイデンティティの表現

建築は地域の風景や歴史、気候、素材、人々の習慣を反映します。
設計者が意識的に地域性を盛り込むことで、文化を未来へとつなげる建築が生まれます。

  • 瓦屋根や土壁、縁側などの日本建築の再解釈

  • 祭りや地域行事に対応した広場や動線設計

  • 地元産木材や伝統工法の活用

  • 景観に調和するファサードや色彩計画

こうした取り組みを通じて、建築は地域の「顔」や「物語」をつくり出し、人々の郷土意識や誇りにも貢献しているのです。


5. サステナビリティと未来への責任

地球環境問題に対応した建築設計もまた、社会的役割の一つです。

  • ZEH(ゼロ・エネルギー住宅)やスマートビルの普及

  • 自然エネルギーの導入(太陽光・地熱など)

  • 環境負荷を減らす設計(通風、断熱、日射制御)

  • 建築廃材や解体再利用まで見据えた設計配慮

建築は一度つくると長期間社会に影響を与え続けるため、“未来世代に対して責任ある設計”が求められる分野でもあるのです。


設計者は“見えない社会インフラ”の担い手

建築設計の社会的役割とは、空間そのものを超えた、人と社会を支える土台の形成にあります。

  • 空間の安全性と利便性を担保し

  • 多様な人が安心して共存できる社会を支え

  • 文化を継承し、地域に根づいた暮らしを育み

  • 地球環境への配慮という未来志向を体現する

それはまさに、**社会の“静かなエンジン”**とも言えるでしょう。

私たちが気づかないうちに守られ、癒され、つながれているのは、設計者が丁寧に積み上げた無数の「空間の選択と配慮」の結果なのです。

詳しくはこちら!

 

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モンド設計のよもやま話~第11回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

~多様化~

建築設計とは単に「建物の形を整える」仕事ではありません。
人の暮らし、働き方、社会の変化、気候、文化あらゆる要素を空間に落とし込む、極めて総合的な創造行為です。

近年、この建築設計の世界では、多様化の波が加速度的に広がっています。
その背景には、価値観の変容、テクノロジーの進展、地球環境問題、ジェンダー・多文化共生など、現代特有の課題があります。

以下では、建築設計の多様化がどのように進んでいるのかを、主に「機能」「素材」「利用者」「文化」「技術」という5つの軸から深掘りします。


1. 機能の多様化:空間の“使われ方”が複雑に

かつては住宅なら「家族が住む」、オフィスなら「働く」という明快な前提がありました。しかし今は違います。

  • 自宅で仕事をする(テレワーク)

  • 店舗と住居が融合する(店舗併用住宅)

  • 公園のように開かれたオフィス

  • 学校が地域交流の拠点にもなる

こうした変化により、建築設計には“多用途・複合利用”を前提としたプランニング力が求められています。
特に「ワークプレイスの多様化」や「高齢者住宅+介護施設の統合設計」などはその象徴です。


2. 素材・構法の多様化:サステナブルで柔軟な設計へ

建築材料の選定においても、従来の鉄骨・RC(鉄筋コンクリート)・木造といった枠組みに加え、環境配慮・地域資源・再生素材の活用が進んでいます。

  • CLT(直交集成板)による中高層木造建築

  • 廃材リサイクル素材による仕上げ

  • 土や藁などの自然素材の再評価(アース建築)

  • 3Dプリンターで成形された構造部材

こうした素材の多様化に対応するため、設計者には構造・環境・施工法に対する広い知見が不可欠になっています。


3. 利用者ニーズの多様化:インクルーシブ設計の重要性

現代社会では、年齢・性別・身体的特性・文化的背景などが異なる多様な人々が同じ空間を共有することが求められています。

注目される設計思想

  • ユニバーサルデザイン(誰にとっても使いやすい設計)

  • バリアフリーを超えた“アクセシビリティの文化”

  • LGBTQ+やジェンダーレス対応のトイレ・更衣室設計

  • 子育て世代・高齢者・外国人に配慮した居住空間

建築設計は、“特定の誰か”ではなく“すべての誰か”のためにある空間”をどうデザインするかが問われるようになったのです。


4. 文化・価値観の多様化:グローバルとローカルの融合

国際化が進む一方で、地域の伝統や文化への関心も高まりつつあります。

  • 日本建築の意匠や自然との共生を現代に翻訳するデザイン

  • 多文化共生住宅や、イスラム教徒への配慮(礼拝スペースなど)

  • 地元の気候・風土・景観に馴染む“ローカリズムの設計”

  • フェミニズムやマイノリティ視点を取り入れた空間計画

設計者は、「普遍性と多様性」を同時に扱う感性と視野を求められるようになっています。


5. 技術の多様化:デジタルと人間性の融合

建築設計は、BIM(Building Information Modeling)やVR/AR、AIなど、デジタル技術との融合によって進化の段階を迎えています。

  • BIMでの3D設計・施工シミュレーション

  • ARを活用した現場での構造検証

  • AIによる構造計算や環境シミュレーション

  • DX化による顧客とのオンライン共有・プレゼン

ただし、これらの技術は“人が使う空間”を設計するという本質を補うための道具であるという認識が重要です。
デジタルとアナログ、理性と感性の両方を操る能力が、今の建築設計者には求められています。


建築設計の多様化は「社会の鏡」である

建築設計の多様化とは、単なる手法や素材の選択肢が増えたという話ではありません。
それは、私たちが「どのような社会をつくり、どのように生きるか」という問いに向き合う、建築という“かたちある応答”の多様化です。

気候変動、高齢化、都市過密、ジェンダー平等、感染症、孤独。
こうした課題に対して、建築は常に「空間」で答えてきました。
設計の多様化は、まさにその時代への応答であり、未来への提案でもあるのです。

建築設計者が担うのは、「居場所」や「生き方」を描く仕事
多様化とは、そこに“無数の生き方が共存できる余白”を与える行為なのかもしれません。

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モンド設計のよもやま話~第10回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

建築設計の世界では、「一人前」と言われるまでに多くの知識と経験、そして信頼関係の構築が求められます。設計は単なる図面を描く作業ではなく、法律、構造、施工、予算、さらには人間関係にまで深く関わる、総合的な職能です。

ここでは、新人から「一人前の建築設計士」として独り立ちするまでの道のりを、段階ごとに深く掘り下げていきます。


1. 学びの基礎:設計職への入口

建築学科や専門学校などで、設計理論・構造力学・法規・製図・建築史などの基礎知識を学びます。特に構造と法規は、実務に入ってからの理解の土台となるため、最も重要視されます。

新卒入社直後の姿勢

  • 「知識を覚える」こと以上に「なぜそう設計するのか」を考える力が求められる

  • メモを取り、毎回の指導を“自分の言葉”に変える意識が成長の鍵


2. 実務経験の積み重ね(アシスタント期)

先輩設計士の指導のもと、CAD図面作成・確認申請書類の準備・施主との打ち合わせ同席など、実務を支える役割を担います。

この期間の主な課題:

  • 現場で起きる“想定外”にどう対応するかを学ぶ

  • 納まりや構造に関する「実物の感覚」を身に着ける

  • 発注者・行政・施工業者など多方面とのやり取りで“設計士の現場力”を体感する


3. 初めての“自分の設計案件”|試される信頼と責任

数年の実務経験を経て、小規模案件を一通り任されるようになります。ここで初めて、設計の全工程(企画→基本設計→実施設計→監理)を通して責任を持つことになります。

よくある悩みと学び:

  • 「施主の要望に応えながら、設計としての筋を通す」難しさ

  • 設計ミスによる工期遅延やコスト超過など、ミスの重みを知る

  • 現場監理の重要性を実感し、“図面と実物”のギャップを埋める力が鍛えられる


4. 資格取得:一級建築士・二級建築士の取得

設計者としての信用と独立性を高めるために、建築士資格の取得は不可欠です。

一級建築士取得のメリット:

  • 大規模建築(商業施設・マンション・公共建築)の設計が可能

  • 設計事務所を開設できる

  • 社内でも“責任者”としての立場が明確になる

資格はあくまで通過点。「信頼される設計士」になるためのステップのひとつです。


5. “一人前”の定義とは?

一人前とは、単に図面が描ける人ではありません。

本当の“一人前”の条件:

  • クライアントの要望を正しく汲み取り、適切な解決策を提案できる

  • 構造・法規・デザイン・コストのバランスを統合的に考えられる

  • トラブルに責任を持ち、自らの判断で前に進められる

  • 周囲の信頼を得て、案件を円滑に進められる

これらが揃ってはじめて、「任せられる設計士」として信頼される存在になれるのです。


6. 継続する成長:一人前のその先へ

設計業に終わりはありません。新しい技術(BIMやAI)、法改正、社会ニーズの変化などに常にアンテナを張ることが大切です。

  • セミナーや講習会での学び直し

  • 若手育成を通じた自己成長

  • 建築の本質に立ち返り、「人の暮らしに何を届けたいか」を問い続ける姿勢


建築設計の“道のり”は、信頼を積み上げる旅

建築設計において一人前になるということは、図面や空間を作る技術以上に、「人に信頼される力」を持つということです。技術・経験・対話・失敗…それらを積み重ねて、自信と誇りを持てる“建築家”へと成長していくのです。

建築という長い道のりの先に、自分自身の作品と社会貢献がある。それを信じて、一歩ずつ、誠実に歩んでいきましょう。

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モンド設計のよもやま話~第9回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

建築設計の世界は今、大きな転換期を迎えています。その象徴ともいえるのが**3D図面(立体図面)**の急速な普及。従来の2D(平面図・立面図・断面図)では伝えきれなかった情報を、視覚的に「わかりやすく」「正確に」「迅速に」伝える3D設計が、今や業界標準となりつつあります。

この記事では、なぜ3D図面が今注目されているのか、その魅力と今後の展望について建築設計業の立場から深掘りして解説します。


1. 3D図面とは何か?|建築の「見える化」

3D図面とは、建物の形状や空間構成、構造などを立体的に可視化した設計情報です。CADソフト(Revit、Archicad、SketchUpなど)を使い、実際の空間に近いかたちでデザインを構築します。


2. なぜ3D図面が注目されるのか?

◉ 見る人すべてに“伝わる”図面

クライアント(施主)にとって、2D図面は専門知識がなければ理解しにくいもの。3Dで表現された図面は「誰が見てもわかる」、イメージの共有がスムーズになります。

◉ 設計ミスの事前発見

立体で設計・確認することで、干渉・納まり・高さの不整合など、施工前に潜在的なミスを発見しやすくなります。

◉ スピードと精度の向上

変更箇所を3D上で即時反映でき、図面修正や積算も連動させやすい。これにより設計期間の短縮と精度の向上が実現します。


3. 実際の活用例|設計から施工までの3D連携

◎ クライアントプレゼン

  • 仮想モデルで建物内を歩くような提案が可能

  • マテリアルや照明効果を可視化して、完成イメージを伝える

◎ BIM(Building Information Modeling)

  • 3Dモデルに構造・設備・材料・工程などの情報を一元管理

  • 設計・施工・維持管理までトータルに連携できる業界基盤

◎ VR(バーチャルリアリティ)連携

  • クライアントが「中に入って体験する」建築プレゼンが可能

  • 設計者と非専門家の“認識のズレ”を事前に解消


4. 導入のメリットと課題

【メリット】

  • 情報共有のスピードアップ

  • 発注者・施工者・設計者の三者連携が円滑

  • コスト予測や資材管理の精度向上

  • 若手設計者への教育効果が高い

【課題】

  • 導入コスト(ソフト・人材教育)

  • 業務フローの再構築

  • ソフト間の互換性やデータ管理の問題


5. 今後の展望|3D図面が建築業を変える

  • 建築設計だけでなく、都市計画・リノベーション・インテリアまで3D化が進展

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の柱として、3D/BIMが業界標準に

  • AIやIoTと連動し、「設計→施工→運用」の一体化へ

3D図面は単なる設計手段を超えて、建築の意思決定そのものを効率化・高度化するツールとして進化し続けています。


3D図面は“建築の未来”をデザインする武器

建築の複雑性が増す現代において、「正確に伝える」「早く気づく」「共有する」という3つの能力を持つ3D図面は、設計者・施主・施工者すべてのパートナーになります。

これからの建築設計には、立体的な発想とテクノロジーとの融合が欠かせません。あなたの設計力を次のステージへ引き上げる一歩として、3D図面の活用を真剣に考えてみませんか?

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モンド設計のよもやま話~第8回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

図面ミスは、そのまま施工ミスクレーム、コストロス直結するため、建築設計において「図面チェック」重要工程ひとつです。しかし、日々業務われるがちが、“チェックすべ視点”共有です。

図面チェックにおける具体確認項目と、見逃しやすい注意解説ます。


1. 基本設計図・実施設計チェック項目

構造・寸法整合性】

  • 図面間(平面・面・断面)寸法一致いるか

  • スパン、芯、通りズレない

  • 開口部(窓・扉)位置図面整合いるか

図面バラつき」現場混乱施工リスク最大要因です。


建築基準法・法規チェック】

  • 用途地域制限、建蔽率・容積率遵守

  • 避難経路、開口率、非常口配置

  • 階段廊下有効幅、バリアフリー基準確認

行政申請に「法規違反ないか」第三者視点確認。


注釈・凡例正確性】

  • 材料表記(仕上げ、構造材)統一いるか

  • 図面上の記号凡例一致いるか

  • 矢印、引出線、寸法記号など明確読める

読みやすさ」品質一部。伝わる図面意識。


図面書式整合】

  • 図面番号、改訂履歴、作成日、作成正しい

  • スケール表記実寸っているか

  • 図面タイトル・枠・ロゴなど表記ミスない

特に、複数作成する場合の「書式統一」重要です。


2. 実務落としがち注意ポイント

■「断面落とし」

断面チェック甘いと、天井高・干渉・設備配管ルート設計齟齬ます。特に天井床下詳細設計軽視すると施工段階支障ます。


■「家具・設備干渉チェック」

  • 冷蔵庫洗濯物理ない

  • 建具開閉家具干渉する

メーカー寸法連携重要です。


■「実際施工可能性検討不足」

図面問題なく見えも、現場まり施工工程考慮ていない設計多くます。

  • 部材搬入できない

  • 足場ない

  • 高所作業現実

構造・施工担当の「Wチェック」信頼高めます。


3. チェック体制ツール整備重要

  • チェックリスト標準化

  • 担当によるクロスチェック(設計者≠確認者)

  • 図面レビュー会議実施

  • BIM・CADソフトによる干渉チェック機能活用

組織チェック体制こそ、品質ブランド支えるです。


図面チェック」品質管理あり、信頼構築第一歩

図面単なる“情報”ではなく、建築現場指揮命令あり、建築契約証明でもある存在です。だからこそ、1ミリ・1文字ズレ大きな損失つながる可能性持ちます。

伝える」「守る」「する」すべて始点なる図面。その完成高めるために、図面チェックは“最終工程”ではなく“設計品質本質”として捉えるです。

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モンド設計のよもやま話~第7回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

建築において、図面は「現場設計つなぐ共通言語」あり、建物そのもの具現するため命綱です。とりわけ、図面の「書き出し(PDFCADデータ化)」は、設計プロセス最終工程あると同時に、建築プロジェクト全体品質信頼左右する重要作業です。


1. 書き出し=正確情報伝達起点

図面書き出しは、「設計あるイメージ」を、現場施工者・施主・行政正確に、そして明快伝えるため変換プロセスです。

  • イヤー整理

  • 尺度・寸法統一

  • ファイル形式(PDF・DXF・JWW等)最適化

  • 出力サイズ・用紙レイアウト整備

これら適切処理ていないと、「ない図面」「わらない図面」現場混乱せ、施工ミス工程遅延原因なります。


2. クライアント信頼構築カギ

図面書き出しは、「情報完成度」だけなく「やすさ」「丁寧さ」われます。書き出し図面ってないと、

  • 施主:「この設計事務所、大丈夫かな…?」

  • 監督:「施工ない、確認手間かかる」

  • 審査機関:「形式ってないため提出」

というで、プロとして信用直結ます

逆に、整然とした図面提示することで、クライアント満足業者信頼大きく高まります。


3. BIM・CAD時代だからこそ求められる「出力精度」

近年、RevitARCHICADなどBIM(Building Information Modeling)ツール導入進み、図面も“データ共有”前提した出力求めます。設計としては、

  • BIMからCAD・PDFスムーズ書き出し

  • 2D・3Dデータ整理変換

  • クラウド共有プラットフォーム対応

など、見せる図面」から「使える図面」転換われいる時代です。


4. チェック体制整備品質保つ

書き出しチェック体制極めて重要です。

  • 寸法・注釈ミス

  • 法規・建築基準抵触ていない

  • 凡例・縮尺表記不備

一度提出図面ミスあれば、その後信頼大きくわれます。Wチェック(ダブルチェック)社内図面レビュー体制構築が、長期業務品質支えとなります。


書き出し」は“最後設計”あり“最初信頼”

図面書き出しは、単なるファイル保存作業ではなく、建築プロジェクト握る“技術かつ信頼工程”です。どれだけ素晴らしい設計も、それが“正しくわらない”。その重要性スタッフ共有し、業務標準として高めていことが、設計事務所ブランド向上つながるです。

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モンド設計のよもやま話~第6回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

いつも「建築工事雑学講座」をご愛読いただき、ありがとうございます。


シリーズ6:品質管理とアフターサービス

竣工後も建物の価値を維持し、安心して長くご使用いただくためには、品質管理とアフターサービスが欠かせません。本記事では、以下3つの視点からポイントを詳しく解説します。

  1. 定期点検とメンテナンス計画

  2. 保証制度とアフターサポート

  3. 長期的な建物価値維持の取り組み


1. 定期点検とメンテナンス計画

点検スケジュールの策定

  • お引き渡し後1ヶ月点検

    • 仕上げ材の初期不具合(クロスの浮き、建具の歪み)を早期発見

  • 6ヶ月・1年点検

    • 生活による建物の微細な動きや沈下、シーリング劣化を確認

  • 2年・5年・10年点検

    • 構造躯体や防水層の中長期的な劣化状況を評価

  • 特別点検

    • 台風や地震後、異常が疑われる場合の臨時点検

点検項目とチェック方法

部位 点検内容 方法・機器
躯体・外装 ひび割れ、モルタルの剥離、シーリングのひび割れ 目視検査、打診検査
屋根・防水 漏水痕、雨仕舞い部の詰まり 散水試験、赤外線サーモグラフィ
設備機器 給排水の漏れ、空調の運転状態、電気系統の異常 水圧試験、試運転、赤外線検査
内装仕上げ クロスの汚れ・浮き、床のきしみ、建具の開閉状態 目視・手動操作

メンテナンス計画書の作成

  • 優先順位の設定:安全性に直結する躯体や防水、次に快適性に影響する設備、最後に美観を重視する内装の順で優先度を付与

  • コスト見積もり:各補修項目ごとに材料費・工賃を算出し、長期的な維持費用を試算

  • お客様への提示:計画書と見積もりをもとに説明会を実施し、合意形成を図る


2. 保証制度とアフターサポート

法定保証

  • 構造躯体:住宅品質確保促進法に基づく10年保証

  • 雨漏り・防水:当社基準による5年保証

独自保証・サポートメニュー

  • 24時間緊急対応窓口

    • コールセンターが365日対応。緊急漏水や設備トラブルに即日対応

  • 無料定期点検サービス

    • 竣工後3年間は毎年1回、無料で専門スタッフが点検

  • 長期メンテナンスパック

    • 有償プランで10年・15年目の大規模点検と部材交換をパッケージ化

  • リフォーム割引クーポン

    • アフターサポート期間中にリフォームを実施する場合の特別割引

アフター対応の流れ

  1. お問い合わせ受付

  2. 現地調査・初期診断

  3. 点検報告書提出

  4. 補修・交換の見積もり提示

  5. お客様承認後、補修工事実施

  6. 完了報告・保証書発行


3. 長期的な建物価値維持の取り組み

デジタル管理システムの活用

  • クラウド型BIM連携:図面・仕様書・点検履歴をBIMモデルと連携し、現地データをリアルタイムに反映

  • モバイルアプリ:タブレットやスマホで点検データ入力、写真・動画を即時アップロード

予防保全の推進

  • IoTセンサー設置:湿度・温度・振動センサーで劣化兆候を常時モニタリング

  • AI予測メンテナンス:センサー情報をAIが解析し、最適な補修時期を予測レポート化

資産価値評価レポート

  • 定期評価:築5年・10年ごとに建物の劣化度合いと市場価値を査定

  • リノベーション提案:評価結果をもとに、省エネ改修や用途変更プランを設計・提案

  • 投資リターン分析:リノベーション費用対効果を試算し、オーナーの資産運用をサポート


次回予告

次回シリーズ7では、「建築現場における最新技術とデジタル化」をテーマに、

  • BIM(Building Information Modeling)の導入メリットと活用事例

  • ドローンによる現場進捗管理

  • AR(拡張現実)を用いた施工シミュレーション

など、現場の生産性と品質を飛躍的に向上させる最新技術をご紹介します。どうぞご期待ください!


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モンド設計のよもやま話~第5回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

いつも「建築工事雑学講座」をお読みいただき、ありがとうございます。


シリーズ5:建築工事の主要な施工プロセス

前回は「施工準備と基礎工事」を解説しました。
今回は、以下6つのステップをさらに深掘りし、各工程で押さえるべきポイントや現場での注意点を詳しくご紹介します。

  1. 躯体工事(鉄骨・RC・木造)

  2. 屋根・外装工事

  3. 建具・サッシ工事

  4. 設備配管・配線工事

  5. 内装仕上げ工事

  6. 完成検査・引き渡し準備


1. 躯体工事(くたいこうじ)

鉄骨造

  • 部材検査:納入されたH形鋼やチャンネル材が図面通りの寸法・材質かを確認。

  • 溶接品質:溶接ビードの幅・深さ、ヒュームの有無をチェックし、非破壊検査(超音波探傷試験など)を実施。

  • ボルト締付:規定トルクで締め付けられているかトルクレンチで再確認し、緩み防止ワッシャーの装着も確認。

RC(鉄筋コンクリート)造

  • 配筋検査:鉄筋の被り厚さ(かぶり厚)、ピッチ、かぎ筋の位置を図面と照合。検査済証の取得を忘れずに。

  • 打設計画:コンクリート打設はポンプ車の配置、高低差、打設速度を計画。気温が高い時期は打設後の散水や養生シートで温度管理。

  • 打継ぎ処理:打継ぎ部にはエポキシ樹脂系接着剤を塗布し、突合せ部の仕上がりを滑らかに。

木造

  • 含水率管理:構造材は含水率15%以下が目安。含水率計で測定し、過乾燥・過湿を防止。

  • プレカット精度:工場加工の精度を現場で再確認。接合部のガタつきがないかチェックし、必要に応じて微調整。

  • 耐震金物:ホールダウン金物や筋かいプレートの位置・種類を図面通りに配置し、緩み止めのナットを確実に固定。


2. 屋根・外装工事

防水・屋根工事

  • ルーフィング:アスファルトルーフィングは重ね幅100mm以上、縦張り時は通気層を確保。

  • シート防水:塩ビシート防水は溶接部の気泡やシワを除去。立ち上がり部はシートを立ち上げ、コーナー部はコーナー部品で補強。

  • 雨仕舞い:軒先、谷樋、取り合い部の納まりを図面通りに施工し、水の流れをスムーズに。

外壁工事

  • 下地調整:外壁材の下地合板は釘間隔を150mm以内にし、下地の反りや割れをパテで補修。

  • 透湿・防水シート:透湿性のあるシートを張り、重ね代は150mm以上。タッカーでピン止め後、専用テープで目張り。

  • 仕上げ材:サイディングの目地シーリングは2面接着とし、打ち替えは既存シーリングを完全に撤去してから新設。


3. 建具・サッシ工事

サッシ取付

  • レベル出し:レーザー水平器で水平・垂直・直角を確認しながらアンカー固定。

  • 気密・断熱:枠周りに発泡ウレタンを充填し、外側から防水テープで目張り。内側は気密テープで気密性能を高める。

  • 排水計画:サッシ下部にドレン孔を設け、水がたまらないように勾配を確保。

内装建具

  • 吊り込み:ドア枠の墨出しを正確に行い、レベルで垂直を確認。戸当たり調整でスムーズな開閉を実現。

  • 調整:建物の乾燥収縮を見越し、建具のクリアランス(隙間)を適切に設定。


4. 設備配管・配線工事

給排水衛生設備

  • 配管ルート設計:保守点検口を確保し、配管の取り回しは最短かつメンテしやすいルートを選定。

  • 勾配管理:排水管は1/50~1/100の勾配を守り、清掃口を適宜設置。

  • 試験:水圧試験(0.75MPa程度)を15分以上実施し、漏水がないか確認。

電気・通信配線

  • 配線計画:幹線と分岐回路を色分けし、ケーブルラックやモールで整理。

  • ラベリング:盤内・コンセント裏に配線番号を貼り、将来の改修・保守作業を容易に。

  • アース接地:接地抵抗は10Ω以下を目指し、適切なアース棒設置と接続状態をチェック。


5. 内装仕上げ工事

下地調整

  • パテ処理:ボード継ぎ目、ビス頭、凹凸部をパテで平滑化。研磨後、下地プライマーを塗布し密着性を向上。

  • シーラー塗布:石膏ボードやモルタル下地にはシーラーを塗り、仕上げ材の吸い込みムラを防止。

仕上げ材施工

  • クロス張り:糊の塗布量と貼り付け時間を厳守。ジョイント部分は重ね代10mmでカットし、ローラーで密着。

  • 塗装:下塗り・中塗り・上塗りを適切な乾燥時間を空けて実施。気温・湿度に合わせた塗料選定を。

  • フローリング:床暖房対応材は熱膨張率を考慮し、縁に5mm程度のクリアランスを設ける。


6. 完成検査・引き渡し準備

各種検査

  • 躯体検査:鉄筋・コンクリート強度試験報告書、非破壊検査結果を確認。

  • 防水検査:散水試験や漏水試験で雨仕舞いを検証。

  • 設備試運転:給排水・空調・電気設備を実際に稼働させ、仕様通りの性能を発揮するか確認。

清掃・最終点検

  • 美装:内外装のホコリ・汚れを徹底清掃。外構や駐車場の片付けも忘れずに。

  • 引き渡し立ち会い:お客様とともに最終チェックリストを確認し、保証書や取扱説明書をお渡し。


まとめ

  • 主要プロセス
    躯体 → 屋根・外装 → 建具 → 設備 → 内装 → 完成検査

  • 成功の鍵

    1. 各工程での厳密な品質管理

    2. 安全管理の徹底

    3. 次工程との綿密な連携

    4. ドキュメントと検査記録の一元管理

次回シリーズ6では、「品質管理とアフターサービス」をテーマに、竣工後の定期点検・メンテナンス計画、保証制度、長期的な建物価値維持のポイントを詳しく解説します。お楽しみに!


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モンド設計のよもやま話~第4回~

皆さんこんにちは!

 

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

 

 

 

シリーズ4: 建築工事の施工準備と基礎工事

 

 

 

建築工事がスムーズに進むかどうかは、施工前の準備がどれだけ綿密に行われるか にかかっています。

施工が始まってから問題が発生すると、工期の遅れや追加費用が発生する可能性があるため、事前の計画と調整が非常に重要です。

本シリーズでは、施工計画の立案、地盤調査と基礎工事、現場の安全管理と施工管理 の3つの視点から、施工準備のポイントを詳しく解説します。


1. 施工計画の立案(スケジュール・資材の手配)

 

建築工事をスムーズに進めるためには、施工計画の立案 が欠かせません。

施工計画は、工期・資材の手配・作業の進行手順を明確にするもので、建築プロジェクト全体の進行に大きな影響を与えます。

✅ 施工計画の主な内容

施工計画には、以下のような要素を含める必要があります。

  1. スケジュール管理

    • 工事開始から完成までの各工程を明確に設定
    • 天候や外部要因を考慮し、予備日を確保する
    • 各工程の担当者を決定し、責任範囲を明確にする
  2. 資材の手配と管理

    • 建築資材の種類、数量、納品スケジュールを事前に調整
    • 材料の保管場所を確保し、品質を保つための管理を行う
    • 価格変動や供給の遅延に備えたリスク管理を実施
  3. 作業手順の明確化

    • 施工の順序を決定し、作業がスムーズに進むよう調整
    • 各職人や工事業者の作業内容を整理し、無駄のない工程を組む

 

施工計画がしっかりしていると、工事の遅れやミスを防ぎ、スムーズに施工を進めることが可能 になります。


2. 地盤調査と基礎工事の重要性

 

建物の安全性を確保するためには、しっかりとした基礎を作ることが不可欠 です。

そのためには、事前の地盤調査が重要であり、地盤の状態に応じた適切な基礎工事を行う必要があります。

✅ 地盤調査の目的と種類

地盤調査は、建築物の荷重に耐えられるかを確認するために行われます。

特に、地盤が弱い場合は沈下や傾きのリスク があるため、適切な対策を講じることが重要です。

  • ボーリング調査:深い地層まで掘り、地盤の強度を測定する
  • スウェーデン式サウンディング試験:小規模な建築に適用される手法で、地盤の硬さを測る
  • 平板載荷試験:建物が載る部分に実際に荷重をかけ、沈下量を測定する

 

✅ 基礎工事の種類と特徴

地盤の強度に応じて、適切な基礎工法を選ぶ必要があります。

  1. ベタ基礎(耐圧盤基礎)

    • 地盤全体に鉄筋コンクリートを打設し、建物の荷重を分散
    • 強い支持力があり、地盤沈下に強い
    • 一般住宅や中低層の建物に広く採用される
  2. 布基礎(連続フーチング基礎)

    • 建物の外周や主要な柱の下にのみ基礎を設ける
    • コストを抑えられるが、軟弱地盤では適さない
  3. 杭基礎(深基礎)

    • 地盤が弱い場合、杭を打ち込んで建物を支える
    • 高層建築や軟弱地盤の建物に適用される

 

適切な地盤調査と基礎工事を行うことで、建物の耐久性を向上させ、将来的なトラブルを防ぐ ことができます。


3. 現場の安全管理と施工管理のポイント

 

建築工事現場では、安全管理と施工管理が極めて重要 です。

作業員の安全を守るだけでなく、工事品質を確保し、予定通りに施工を進めるためにも、適切な管理体制が求められます。

✅ 現場の安全管理

安全管理を徹底することで、事故を防ぎ、工事を円滑に進める ことができます。

  1. 安全対策の徹底

    • ヘルメット・安全帯・防護具の着用を義務付ける
    • 足場や高所作業の安全対策を徹底する
    • 工事エリアの整理整頓を行い、転倒や落下事故を防ぐ
  2. リスクアセスメントの実施

    • 作業ごとにリスクを評価し、事前に危険要因を排除
    • 毎朝の安全ミーティングを行い、危険箇所を共有
  3. 緊急時の対応計画

    • 火災・倒壊・転落事故などに備えた緊急対応マニュアルを整備
    • 事故発生時の報告・対応フローを明確にする

 

✅ 施工管理のポイント

施工管理は、工事品質を確保し、工程を円滑に進めるための管理業務 です。

  1. 品質管理(施工品質のチェック)

    • 材料の品質確認(規格通りの資材を使用しているか)
    • 施工精度の確認(図面通りの施工が行われているか)
    • 仕上げ状態のチェック(不具合や欠陥がないか)
  2. 工程管理(スケジュール通りに進める)

    • 予定通りに工事が進んでいるかを確認
    • 遅延が発生した場合の調整と対応策の検討
  3. コスト管理(予算内での施工)

    • 追加工事の発生を最小限に抑える
    • 材料費・人件費・諸経費のバランスを管理

 

適切な安全管理と施工管理を行うことで、高品質な建物を、安全かつ効率的に完成させることが可能 になります。


まとめ

 

建築工事の成功は、施工前の準備・基礎工事・安全管理 に大きく左右されます。

事前の計画を綿密に行い、適切な地盤調査と基礎工事を施し、安全対策と施工管理を徹底することで、安心して長く住める建物を作ることが可能 です。

次回のシリーズでは、建築工事の主要な施工プロセス について詳しく解説していきます!

お楽しみに!

 

 

 

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モンド設計のよもやま話~第3回~

 

皆さんこんにちは!

 

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シリーズ3: 建築設計の流れとポイント

 

 

 

建築設計は、単に美しいデザインを考えるだけではなく、建物の機能性、安全性、さらには環境への配慮など、さまざまな要素を考慮しながら進める必要があります。

特に、設計の初期段階でしっかりとした計画を立てることで、後の施工や維持管理のしやすさにも大きな影響を与えます。

本シリーズでは、建築設計のプロセスにおける重要なポイントを解説し、スムーズに進めるための知識をお伝えします。


1. 基本設計と実施設計の違い

 

建築設計には大きく分けて 「基本設計」「実施設計」 という2つのフェーズがあります。

それぞれの段階での役割を理解することで、設計の流れをスムーズに進めることができます。

✅ 基本設計(Concept Design)

基本設計は、建物の全体像やコンセプトを決定する重要なフェーズです。

この段階では、施主(クライアント)の要望を踏まえながら、建築の大まかなプランを固めていきます。

主な作業内容:

  • 建物のコンセプト決定(デザイン・用途・機能)
  • 間取りやゾーニングの決定(部屋の配置・動線計画)
  • 外観デザインや建物のボリューム検討
  • 法規制や周辺環境との調整
  • 概算コストの算出

 

基本設計の段階では、詳細な構造や設備の設計は行わず、あくまでも全体的な方向性を決めることに重点を置きます。

✅ 実施設計(Detailed Design)

基本設計をもとに、より具体的な仕様や施工方法を決めていくのが 実施設計 です。

このフェーズでは、施工業者が図面を見て正確に工事を進められるよう、細かい指示を図面に落とし込んでいきます。

主な作業内容:

  • 詳細な設計図の作成(平面図・立面図・断面図・仕上げ表など)
  • 構造設計・設備設計(給排水・電気・空調など)
  • 材料や仕上げの選定(床・壁・天井・外装材など)
  • 施工方法や工程の検討
  • 施工費の見積もり調整

 

実施設計の段階では、設計ミスや調整不足があると、施工中の変更や追加費用が発生する可能性が高くなります。

そのため、しっかりと細部まで検討することが重要です。


2. 法規制と建築確認申請のポイント

 

建築物を設計・施工する際には、法律や条例を遵守しなければなりません。

特に、日本では 建築基準法 による規制があり、建築確認申請を通じて設計の適法性を確認する必要があります。

✅ 建築確認申請とは?

建築確認申請とは、建物を新築・増築・改築する際に、設計が建築基準法などの法規に適合しているかを 行政機関または指定確認検査機関 に申請し、確認を受ける手続きのことを指します。

申請が必要なケース:

  • 新築の建物を建てる場合
  • 一定規模以上の増築・改築・用途変更をする場合
  • 特殊建築物(商業施設・学校・病院など)を建てる場合

 

✅ 建築設計で考慮すべき法規制のポイント

 

  1. 建ぺい率・容積率の確認
    • 敷地面積に対して建てられる建築面積(建ぺい率)や延床面積(容積率)の制限。
  2. 用途地域の確認
    • 住宅、商業施設、工場など、用途によって建築可能なエリアが決められている。
  3. 高さ制限・斜線制限
    • 周囲の景観や日照権を守るための高さ制限や斜線制限が存在する。
  4. 耐震基準・構造計算
    • 地震に強い設計が求められ、特に中高層建築では構造計算が必須。
  5. 消防法・避難経路の確保
    • 防火設備の設置や非常口の確保が必要。

 

事前に法規制をしっかりチェックし、設計段階で問題が発生しないようにすることが重要です。


3. 環境に配慮した建築設計とは?

 

近年、環境問題への関心が高まり、建築設計においても サステナブルな建築(環境負荷の少ない建物) が求められています。

✅ 環境に配慮した建築設計のポイント

 

  1. エネルギー効率の向上(省エネ設計)
    • 高断熱・高気密の設計により、冷暖房エネルギーを削減
    • パッシブデザイン(太陽光や風を活用した設計)を取り入れる
  2. 再生可能エネルギーの活用
    • 太陽光発電、地中熱利用、雨水利用システムの導入
  3. 自然素材の活用
    • 木材やリサイクル可能な建材を使用し、環境負荷を低減
  4. ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の導入
    • 住宅のエネルギー消費を限りなくゼロにする設計

 

持続可能な建築は、 環境だけでなく居住者の健康や快適性にも良い影響を与える ため、今後ますます重要になっていくでしょう。


まとめ

 

建築設計のプロセスは、基本設計から実施設計、そして法規制の確認と建築確認申請まで、多くのステップを経て進められます。

さらに、環境に配慮した設計を取り入れることで、より持続可能な建築を実現することが可能になります。

このシリーズでは、建築設計の流れとポイントについて詳しく解説しました。

これから設計を進める方にとって、少しでも参考になれば幸いです!

株式会社モンド設計では、業務委託で一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

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