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モンド設計のよもやま話~第12回~

皆さんこんにちは!

株式会社モンド設計、更新担当の中西です。

~社会的役割~

私たちが暮らす家、通う学校、働くオフィス、集まる公園――。
それらすべての空間は、「建築設計」によって生み出されています。

けれどその存在は、意識されることが少ないかもしれません。
建築設計は、社会の基盤をつくり、人の営みを支え、文化と価値観を可視化するという、極めて公共性の高い行為です。
単に“建物を建てる”のではなく、その空間に関わる人々の「暮らし・働き・学び・集う」を形づくる設計行為そのものが、社会を支える役割を担っているのです。


1. 「居場所」をつくるという責任

人間にとって、空間は単なる器ではありません。
そこにいることで安心し、居心地を感じ、意味づけをし、生き方を支える「居場所」になります。

建築設計とは、人に“居場所”を与える行為です。

  • 家:自分に還る安心の空間

  • 学校:子どもが育ち、つながり、社会性を培う場

  • 職場:働く人が快適に、生産的に活動する舞台

  • 公共空間:多様な人が共に過ごす包容力のある場

つまり設計は、**「人と社会をつなげる場所を創造する仕事」**であり、それによって人間関係やコミュニティの質すら左右されるのです。


2. 安全性・快適性の担保:都市と人命を守る使命

耐震設計、防火区画、避難動線、採光・通風計画――。
建築設計には、災害時に命を守る仕組みづくりや、日常的な安全性を担保する責任があります。

特に日本は地震・台風・豪雨など自然災害が多く、建築に求められる防災性能は世界でも極めて高い水準です。

設計者が的確に性能を盛り込まなければ、

  • 倒壊・火災・避難困難などによる人命リスク

  • 高齢者・子ども・障害者にとって危険な空間設計

  • 感染症や熱中症のリスクが高まる環境構造

が発生する可能性があります。

つまり、**建築設計とは命と暮らしを守る“社会インフラの一部”**でもあるのです。


3. 多様な価値観と共存できる空間づくり

現代社会は、年齢・性別・国籍・身体的特性・文化背景などがますます多様化しています。
建築設計は、そうした多様な人々が**“共に在ることのできる場”をかたちにすること**が求められています。

具体的な対応例:

  • バリアフリー設計(高齢者・障害者のアクセス保障)

  • ジェンダーレストイレ・授乳室など、性とケアへの配慮

  • 宗教的配慮(礼拝スペース、靴を脱ぐ文化への対応)

  • 防犯・孤立防止設計(視認性、セキュリティ、共用部の配置)

こうした空間設計は、社会的少数派や声の小さな存在を“包摂”する公共的営みであり、設計者には“社会正義”や“倫理”が問われているとも言えるのです。


4. 地域文化の継承とアイデンティティの表現

建築は地域の風景や歴史、気候、素材、人々の習慣を反映します。
設計者が意識的に地域性を盛り込むことで、文化を未来へとつなげる建築が生まれます。

  • 瓦屋根や土壁、縁側などの日本建築の再解釈

  • 祭りや地域行事に対応した広場や動線設計

  • 地元産木材や伝統工法の活用

  • 景観に調和するファサードや色彩計画

こうした取り組みを通じて、建築は地域の「顔」や「物語」をつくり出し、人々の郷土意識や誇りにも貢献しているのです。


5. サステナビリティと未来への責任

地球環境問題に対応した建築設計もまた、社会的役割の一つです。

  • ZEH(ゼロ・エネルギー住宅)やスマートビルの普及

  • 自然エネルギーの導入(太陽光・地熱など)

  • 環境負荷を減らす設計(通風、断熱、日射制御)

  • 建築廃材や解体再利用まで見据えた設計配慮

建築は一度つくると長期間社会に影響を与え続けるため、“未来世代に対して責任ある設計”が求められる分野でもあるのです。


設計者は“見えない社会インフラ”の担い手

建築設計の社会的役割とは、空間そのものを超えた、人と社会を支える土台の形成にあります。

  • 空間の安全性と利便性を担保し

  • 多様な人が安心して共存できる社会を支え

  • 文化を継承し、地域に根づいた暮らしを育み

  • 地球環境への配慮という未来志向を体現する

それはまさに、**社会の“静かなエンジン”**とも言えるでしょう。

私たちが気づかないうちに守られ、癒され、つながれているのは、設計者が丁寧に積み上げた無数の「空間の選択と配慮」の結果なのです。

詳しくはこちら!

 

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